第3章 EPISODE Liisa

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「今、何だと思ったんだ?」 フランは、興味津々というように口を開いたが、相反して言葉に抑揚はなかった。 「……何でもないよ。別に……」 そういうしかなかった。 「もう、やめようぜ、そういうの」 「えっ」 「そうやってさ、お互いに心の内を隠し続けるのは。リーサだって、ほら……なんていうんだろう――俺が今何を思ってるのか、わかってるんだろ?」 リーサは一瞬だけ考えたが、その後すぐに、彼のいう通りだと結論を出した。 リーサ自身にも、いまさら彼を気持ちを拒む理由などなかったからだ。 「うん……わかってる」 「ならさあ」 再び彼の身体が擦り寄ってくる。 「ちょっと、待ってよ」 リーサは制止したが、効果はあまりなかった。 彼の腕が、するするとリーサの身体に迫ってくるのだ。 リーサもそれを邪魔しようと腕を絡めたが、さらにその隙間を縫うように、フランは腕を進行させてくる。 ついには、またさっきのように、彼に抱きすくめられるようなかたちになった。 彼の体温を感じ、さらには心臓の鼓動が伝わってきたような気がした。
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