第4章 EPISODE Reito

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そしてその間は、もちろんドラクロスに帰るようなことはなかった。 アイリスやエレノアたち、そしてレリアとも、一年以上顔を合わせていないということになる。 懐かしさと、少しばかりの寂しさを、怜人は感じた。 するといつものように、病室で横たわったまま動かない、最後に見たレリアの姿が脳裏をよぎっていった。 本当に、ただすやすやと眠っているだけのような綺麗な顔――。 あのときと同じように、レリアはまだ、眠ったままなのだろうか。 おそらくはそうなのだろう、というのが、もっとも有力な結論だった。 ただ、もしかすると――という希望が存在していのも本当だ。 いや、後者であることを強く願っているのだ。 「何をぼうっとしているんだい?」 フェリックスの声を聞いて我に返った。 茶髪の下の彼の顔は、薄く笑みを作っていた。 「あ、いえ、別に……」 胸のうちはお見通しだったのかもしれないが、怜人は咄嗟にそうごまかした。 女性好きは相変わらずなフェリックスだが、彼がレリアの話題を持ちかけることはほぼ皆無だった。 彼なりに、怜人に気を使ってくれているのは明白だった。 「さて、そろそろ日も暮れそうだし」 フェリックスは空を見上げた。怜人もつられてそうする。 遠くの空が、赤みを帯びた色彩に変化していた。 「考え込むなら、まずはゆっくりできる宿を探すとしよう」
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