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こんなふうに、たまに兄から手紙を受け取るのだが、それをありがたいと思ったことはなかった。
どうせそれは、彼の一方的な欲求だけで送付されてくるものだからだ。
クロードは、兄のクラフトとは、どうにも馬が合わないところがあるのだった。
彼の唯我独尊といった雰囲気が、肌に合わないという理由が一番だろう。
やはり続きを書く気持ちにはなれないので、クロードは床につくことにした。
ちょうどそのときだ。
その出来事は、クロードが部屋の明かりを消した瞬間に起こった。
隣の部屋から、重量のあるものが固い何かにぶつかるような、巨大で低い物音が聞こえてきたのだ。
そのすぐあとに、木製の床が大きく音を響かせたような音が隣から届いた。
なんだろう?
そう思ったが、明かりを再び灯すことはしなかった。そうしたところで何かがわかるわけではないからだ。
すると、視覚が遮られているおかげか、続いて小さな物音が聞こえてきた。
部屋を歩き回るような、しかし僅かしか耳に留まらない。
おおよそ、重たい家具か何かを移動させていて、誤って落としてしまったのだろうと、クロードは推測した。
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