第1章 EPISODE Claude

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――― あの事件が起きたのは、今から七ヶ月ほど前のことだ。 クロードがバルティアに派遣されてからでいうと、たしか二、三ヶ月の頃だったと記憶している。 その日、クロードはルプールという名の小さな村を訪れていた。 当時その近辺に頻繁に出没していた、盗賊を退治するという任務を受けたためだった。クロードを含めた八人がその場へ派遣された。 任務はおおむね順調に進んでいたのだが、ついに盗賊たちからの襲撃を受ける日はやってきた。 ちょうど、クロードが村の入口を見張っていたときのことだった。 深い夜の下、黒い闇が世界を侵食していくような、突然の襲撃だった。 クロードは、ルプール村の村長であるバレックを守るため、彼の住む家へと走った。 そこには彼と、彼の孫娘がふたり隠れていた。ララとリリィという姉妹だ。 バレックは、ふたりを連れて逃げるよう、クロードを促した。 それが年長者としての、バレックの決意なのだと受け止め、クロードは彼に従った。 裏口から飛び出して、逃げた先は暗い森の中だった。深く広く、当てすらを見失ってしまうような、漆黒の森だ。
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