第一話 だから『彼女』を護衛する

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 無論、大国エポストワールだけが被害を受けているのではい。大国ヴァルカーンを対象にしてある国、大国フェーリアもまた被害を被っていた。  つまり、リリーが大国フェーリアの王子と結婚するということは、この問題が解消されることを意味する。  それだけではない。そんなことが実現したならば、三つの国が一気に繋がり合併をして超大国生まれるのも夢ではない。  リリーも一国の皇女である。市民の話を引き合いに出されたら何も言い返せなくなる。  沈黙してした彼女を見て、それを了承とった父上が『……分かったな』と念押しされると、部屋を出ていくように指示された。  苦虫を噛み潰したよう顔でリリーは部屋を後にした。 「今思い出しても腹が立つわ」  朝の事を再び思い返して、怒りの眼差しを風に黄昏ながら咲く花へと移した。  この家に生まれた時点で、リリーが結婚相手を自分自身で選ぶことができないことくらいわかっていた。しかし自分を蚊帳の外にして、こうもとんとん拍子に婿を決められてはこちらもたまったものではない。
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