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ふと空を見上げると、紆余曲折している自国の国旗が風に揺られていた。
今日もこの国が幸せであるようにと願う者たちがいる。
自分も民の為にこの縁談を割り切らないといけない。リリーは強く拳を握りしめてそう決心した。
****
前回の任務から五日が経過した。
ミミズクが鳴く夜中、いつも通りブラウンのローブに身を包むと外へと出る。
「もう来ていたのか」
玄関前には数人の男たちがシリルの家を取り囲むようにして円状に待ち構えていた。その更に後方にも何人かいるのがうかがえる。いつもより人が多い。訝しげに思いつつも黙ってシリルは前に目を向ける。
「今日は貴様に重要な任務を与えてやる」
弧の中央に立っていた、シリルから見て丁度目の前にあたる人物が一歩前に歩を進める。
ゴミを見ているかのような見下した目で話し始めたのは、国王の補佐を務めている&ルフ・ガ=ルイである。口調からして、明らかにシリルを下に見ている。
「今日はやけに人が多いですね。これもその任務が関わっているのですか?」
しかもただの一般人じゃない者も二人ほどいる。この感じからして魔法使いだろう。
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