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「当たり前だ。そうでなければこんな辺鄙(へんぴ)な場所に大勢兵士を連れてくるわけがなかろう。それくらいーー」
「口を慎みなさい、ルイ」
「ぐっ……はっ! 申し訳ありません」
後ろから一括する声が聞こえてきたかと思うと、突然さっきとは打って変ったようにルイは中腰の体制をとった。
「申し訳ありません。兵の口が悪くて」
ローブのフードを深くかぶった人物が、非礼を詫びつつこちらへと近づいてくる。周りにいた兵は一斉に膝を地面に着き道を作った。
フードの中からは綺麗に束ねられた青い髪が垂れている。声から察するに女性であろう。魔力は感じられないし身構える必要はなし。シリルはそこまで分析するとゆっくりと警戒を解いた。
「ルイさん、こちらは誰ですか?」
目だけを向けてルイに尋ねると、馬鹿者! とでも叫びそうな勢いで早口に紹介してくれる。
「このお方は、我が国の皇女ウィリアム・ミルナード・ジュリム=リリーでおらせられるぞ。自国の王族くらい名前と顔を知っておくのが礼儀だろう」
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