第一話 だから『彼女』を護衛する

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「それで、あちらが大国フェーリアに来てほしいというお誘いを受けて行くことになったのですが……。脳の回転が遅いあなたでも分かると思いますが、この縁談は内密なのです。もし知られるようなことがあれば間違いなく我が国と大国フェーリアの間にある国、大国ヴァルカーンが邪魔をするでしょう」  そうですね、とシリルは相槌を打った。それどころか、他の国だって危害を加えてくるかもしれない。実質二つの大国が手を組んでしまえば、世界最強の国と言っても過言ではなくなる。 「それで、勿論のことリリーお嬢様の万全を喫し護衛をするつもりだが、ここ最近、王国内でスパイがいるという密告があった」 「スパイ……」  あまりにも唐突な話で頭が追いつかない。スパイなんてどこの国にも潜んでいるのは普通の事であるのは分かっている。そこに驚いているわけではない。都会だろうと否かだろうと、国から国へ入国する時に必要とされる身元証明書さへあれば誰でも侵入可能だ。
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