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「なら、いつものこれを装着しろ」
「ああ、これね」
シルバーの色をした首輪をリルから差し出される。これを受け取ると、何も言わずにシリルは首にかけた。
その行為を不思議そうにリリーが見ている辺り、この首輪の効果を知らないようだ。
「では、ここにリリーお嬢様を無事に大国フェーリアに連れて行くことを誓うか」
「誓います」
一も二もなく答える。
瞬間、銀色だった首輪のメッキがポロポロと剥がれていき、本来の光沢のある金色が姿を現す。その間、リリーは息を呑んで静かに見守っていた。
それを目で確認すると、リルが懐から綺麗に折りたたまれた紙を取り出す。
「これを。出来るだけ安全な道を記してあるから、この通りに行け」
そう言われて受け取った紙を広げると地図だった。赤いマーカーでくねくねと入りくねった線が描かれている。要所にはバツ印が。それも一つは自国内にあった。
「バツ印は、そのあたりで寝床を探せという意味だ」
補足説明されて、バツの数を数える。全部で三つ。つまり、これからリリーと三泊四日の旅をするということだ。
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