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「……と、兎に角、そういうことだから、中身を覗かせる訳にはいきません」
女性のプライバシーを主張されては、紳士としてシリルが中を見るのを諦めざるを得ない。
「けど、このままでは大国フェーリアまでだいぶ時間を食いますよ」
「馬鹿者! それを貴様が持てば良いだけの話であろう!」
それくらいは分かっていますよリルさん、ただこっちとしてもそんなに重たい物を持ちたくないから言っているんでしょうが、という言葉を飲み込んで深いため息を吐く。仕方がない。
シリルは、巨大ザックに手を伸ばす。
「分かりましたよ。これ以上言い合っても埒が明かないですし、俺が持ちましょう」
肩ベルトに手を通して、持ち上げると予想以上に重たい。詰め込みすぎだろ。肩が外れそうなんだけど。
ここは一つ、とシリルはお得意の呪文を唱える。
「『木剋土(もくこくど)』」
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