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魔法を使うにも魔力というものが必要なのだ。それが尽きると魔法が使えなくなる。更には、自分の動きまで鈍くなってしまう。
シリルの魔力は残りほんの僅かで、かなりの疲労が溜まっていた。
二部屋とっておいたので、ザックを手放すと、何も言わずに隣にとっておいた部屋に戻った。
ベッドに力なく倒れると直ぐにでも寝むれそうな気がした。だがそこを何とかこらえなければならなかった。明日の事について、リリーに話しておかないといけなかったからだ。
「けど、もうちょっとだけならいいよな」
寝返りを打って、疲弊がたっぷりたまった体をベッドにうずめる。
それからどれくらい時間が経ったのだろう。突然、部屋をノックする音がして目が覚めた。大きな欠伸をすると、カーテンの隙間から陽光が差していることに気付いた。
「げ、しまった」
あまりの失態に思わず声が漏れる。
小走りすると、即刻戸を開ける。そこには、身支度を終えたリリーが立っていた。
「おはようございます」
笑顔で挨拶されて、シリルもおはようございますとナチュラルに返す。決して動揺していると悟られてはいけない。ばれてしまうと自分の信用に関わる。
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