第二話 そうして『彼女』は……

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 昨日は暗くて青い髪をした容姿の良い女性ということくらいしか分からなかったが、リリーの首元にはロケットと思われるペンダントが下げられている。それに、ツンと高い鼻に切れ長の目、これが世間一般で言うモデル顔なのだろう。ただし、身長はそれほど高くない。シリルと比較すると、優に二十センチ以上は差があるように思える。  が、もう一つシリルにとって目のひん剥くような驚きがあった。彼女の服装である。  どれだけ眠たい目を擦ろうとも、一般人じゃ到底手に入らない青いドレスを着用しているのである。  胸元までざっくりと開いており、胸部の周りをリアルファーで隠している。胸から骨盤まで青がかった生地がぴったりとフィットしているため、綺麗なくびれが見受けられる。そこからは、向こうまで透けて見えそうな布を幾分にも重ね合わせたスカートがふんわりと広がっている。装飾としてスパンコールがスカートのひらひらとした部分につけられている。 「あのどうかしましたか?」  あまりにもシリルがジッと凝視していたため、リリーがひざを折って覗き込んでくる。 「あの、その服はなんですか?」 「これはですね、去年の夏に……」 「そういうことを言っているのではなくて、どうして今それを着ているのですか?」  頭がくらくらする。昨夜から思っていたが、このお嬢様意外に世間一般の常識というものを全く分かっていないのでは。どう考えてもその恰好は目立つどころではなく、お嬢様だということがばれてしまう。
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