第三話 『彼女』に俺は打ち明ける

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 私は、国を守りたいから大国フェーリアの王家と結婚をする。そして、彼は、家族を守りたいから自ら奴隷となっている。  差など存在しない。彼と私の信念に違いなど存在しなかった。  それを感じた瞬間、自分の愚かな発言にまたリリーは涙をこぼす。  私は、どこかで彼を見下していたのかもしれない。自分の地位を驕り、人を殺す彼を汚らわしいとさえ思考していたのかもしれない。  違う。汚らわしいのは、私だ。  彼は、ただ、家族の笑顔を守りたいだけなのだ。  そう思うと、今までリリーが会ってきた男の中で、シリルがひときわ輝いて見えた。 「どうしましたか? リリー」  また泣き出したリリーにシリルは焦ったが、今度は落ち着いてハンカチを取り出す。 「いえ、何でもありません」  それを今度は素直に受け取ると、リリーは双眸を撫でるように拭き取った。 「ありがとうございます」  綺麗に畳み直すとハンカチをシリルに返す。  先ほどまで漂っていた不穏な空気が払拭されたように、お互いに感じられた。それを合図に、リリーのお腹から可愛い音が鳴る。  シリルは、無視しようかとも一考したが、朝から何も食べていなことを思い出して、後ろの方に手を回した。確か、ザックの上の方にサンドイッチが入っていたはず。  無駄にならなくて良かった。これで荷物が少し軽くなる。シリルは、サンドイッチを取るとリリーに無言で突き出す。
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