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「どれくらい来たのでしょうか?」
「半分くらいだと思います。何せ、ここは標識がないので正確な位置が分からなくて」
「そうですか……まだ半分ですか」
だいぶ疲労が溜まっているのだろう。リリーの顔色が少し悪い。果たして時間通りに間に合うのだろうか、とシリルは少し心配する。
「あのう、一つ提案なのですが、ここらで巨大ザックをどうにかいませんか」
賊などに襲われたときに、こんなにでかい荷物を持っていたのでは、動きが鈍る。何より街中で出会った男が気になる。
「ですが、そこには、大切なものが」
「いや、別に捨てろと言っているわけではないのです。ここに隠しておくのです。後で俺が取りに行きますから」
食い下がるリリーに、さらに詰め寄る。そうしないと、シリルの魔力が途方もないほど奪われ続けるからだ。
「……分かりました。それなら少し待っといて下さい」
丸太から降りると、ザックのチャックを開ける。それを横目でシリルが見ていると、羞恥心たっぷりの顔でこちらを睨んでくる。
「少し、あっちを向いといてください。色々あるので」
頭を掻いて、シリルは仕方なくそっぽを向いた。
「シリルさんって学校に通っているんですか? 見たとこ学生っぽいですけど」
沈黙を嫌がって、リリーが唐突に問いかけてくる。
「さっきも言ったように、奴隷には通える権限なんてありませんよ」
「そうですか」
そう言うと、リリーが黙ってしまう。
嫌な空気にしてしまったとシリルは思い、慌てて話題転換する。
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