第三話 『彼女』に俺は打ち明ける

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「ダメだ。最近、大国ヴァルカーンに住む国民は、入れないことにしているんだ。食糧不足のあいつらは、何をするか分かったもんじゃねえ。それがお前たちだとも限らん」  じろりとナイフのような冷たい目でこちらを睨みつける。  シリルは、心の中で村人の言っていることに賛同した。確かにその通りだと。  大国エポストワールと大国ヴァルカーンが争っているのもそこにある。彼らは、生きる為の食べ物が欲しくて無法地帯に存在する村を襲い、ついには大国エポストワールに手を出して来た。  言うまでもなく、ここは法律の届かない場所。大国ヴァルカーンに住む国民にとっては、格好の餌場だ。  しかし、リリーがいる手前そう簡単に引き下がるわけにはいかない。どうにかして、入れてもらわないと。シリルは、夜空を視界にとらえつつ尚も食い下がった。 「お願いです。一晩だけでいいんです。朝には直ぐに出ていきますから」 「ダメダメ。入れる訳にはいかないよ」  くそっとシリルは地面を蹴った。何か証明できるものはないか。  シリルが苦悩で頭を抱えている時、ふいにあっとリリーが声を上げる。 「もしかしたらここに」  そう言って、彼女はシリルに近づくと、身に着けている首輪を問答無用で引っ張られる。へ? と間抜けな声を出す暇もなく、目の前にリリーの顔があった。  だが、あたふたするシリルにお構いなしで、しきりに彼女は首輪を眺めまわす。 「どうしたんですか? 首輪に何か……」  そこまで言いきけてシリルは、リリーが何をしているのか悟る。
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