第三話 『彼女』に俺は打ち明ける

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「ありました。ここに」  首の後ろを指さして、リリーが言った。シリルは、手を回して、さされた場所を手でなぞると、そこか何か掘られたようにくぼんでいる。 「あの、これを見てください。ここに王国の名前が」 「どれどれ」  村人は彼女の言われるままに従って、シリルの首の後ろを見る。すると、そこには、何か文字が掘られてあった。 『ここに大国エポストワールの兵と認める』  まさしくそれは、エポストワールから来たことを示していた。 「確かに、大国エポストワールの者ですね」 「それじゃあ、これで中に入れますか?」 「そうだね。あの国なら入れてもいいかねえ」  リリーの質問に、村人二人が顔を見合わせて渋々頷く。彼らは、村の入り口を開けると、すんなり中に通してくれる。 「良かったですね、入れて」 「そうですけど。でもこれからは、何をするのか説明してから行動してくださいよ」  村の中に入れたことに興奮するリリーを窘める。いきなり首輪を引っ張られたものだから、首が鞭打って少し痛い。 「すみません。つい、シリルさんの助けになれると思ったら嬉しくって」  しょんぼりとして顔を伏せる。そこまで怒ってないんだけどなあ、シリルは気まずくなりリリーから顔を背ける。  しかし、リリーの考えは実に妙案であった。昔、この首輪は、王に使える者の証として使われていたのだ。どこかにそのことを示す文字が掘られてもおかしくないとリリーはそう考えたのだろう。  そのことについては、シリルは感謝しなければならなかった。
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