第一話 だから『彼女』を護衛する

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 ドタバタと慌ただしい音でシリルは目を覚ました。昨日の疲れが残っている所為で、体が重たい。 「シリル兄ちゃん、ジル兄ちゃんがアニーの目玉焼き食べちゃったよぉ~」  勢いよく扉が開いたと思ったら、アニーが目元に涙を浮かべて飛びついてきた。その後ろから、次男のジルと長女のエデが入ってくる。  事情が呑み込めていないシリルであったが、取りあえずバランスよく結ばれたポニーテイルの頭を撫でてやる。たぶん、エデがやったのだろう。  長男のシリルと長女のエデはどちらとも黒髪であったが、次女のアニーと次男のジルは金髪であった。 「こら、ジル。お兄ちゃんがアニーを苛めちゃだめだろうが」  アニーはまだ五歳、それに比べてジルは十歳と五歳も年上である。 「だって、アニーがいつまでたっても食べないからてっきりいらないのかと思って」 「違うの! アニーは好きなものは最後に食べたいの!」  頬っぺたを膨らましてアニーはジルを涙目で睨んだ。なんだよ、とジルも見つめ返す。一触即発だ。
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