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――私は猫神になってもう二百年になるのだ。
最初は寺に祀られたりなどしていて、人とも接しそれなりに楽しく過ごしていた。
だが、それも最初だけ。
年を重ねると共に、寺への参拝者も減り、つい五十年前には廃寺と化してしまった。
それから三年。
私の寺は取り壊しが決定してしまってな。止むを得なく寺を去ることにしたんだ。
それからは酷かった。
野良猫となった私は猫たちの縄張り争いに負け、移動を強いられるし、空腹でゴミ箱を漁ってるだけでおっ飛ばされるし、ただそこにいるだけで石を投げられる。
三年前に居た所では、私を拾ってくれた人もいたが、私がテレパシーを使えることに恐怖して、罵られたり殴られたりなど心身ともに傷つけられた。
そして、その元飼い主は町中にこの事を話した。
本当にテレパシーが出来るとわかり、その町では私は嫌われものになってな。
また仕方なくこの町に移ったのだ。
ここでどうしようか迷ってるとき、小僧に出会った。
通行人のほとんどは素通りするのに、小僧は私の視線に気付いた。
最初は素通りされたが、二度目は私と視線を交えてくれた。
『――まぁ、そこからは知っての通りだ。
小僧は私がテレパシーを使えても気味悪がることもせず、鮪や牛乳をくれた。
私は嬉しかったのだ。
ちゃんと私と接してくれることにな。
ここから出されたら私はまた一匹。もう寂しい思いはしたくないのだ。
もう一匹は嫌なんだ。
だから頼む!私をここに置いてくれ!頼む……』
と、語って俯く猫神。
話が重すぎて笑えねぇよこれ……。
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