その1

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カチカチカチ……。 時計の秒針の音が無機質に響く。 カーテンの隙間からは、外の明るさを示すように光が差し込んでる。 音のする方へ目を向けると、時刻は朝の7時を指していた。 今、私は見慣れないこの部屋で、真っ裸で男と向き合ってる。 「…………」 「…………」 お互い固まって動けない。 目の前の男は良く知っている。同僚の須藤義隆(スドウヨシタカ)。私の好きな人だ。 でも付き合ってない。片思い中。 「……須藤、これ……」 男と女が爽やかな朝に裸でベッドの上だなんて、普通は答え一つしかない。 そう思うのに聞かずにはいられない。 須藤と目が合い笑ってみたが、顔が引きつってしまった気がする。 須藤はフ――ッと大きなため息をついた。 「わりぃ……。全く覚えてないんだわ……」 ――――は!? まさかの覚えて無い発言に、私は再び固まった。
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