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カチカチカチ……。
時計の秒針の音が無機質に響く。
カーテンの隙間からは、外の明るさを示すように光が差し込んでる。
音のする方へ目を向けると、時刻は朝の7時を指していた。
今、私は見慣れないこの部屋で、真っ裸で男と向き合ってる。
「…………」
「…………」
お互い固まって動けない。
目の前の男は良く知っている。同僚の須藤義隆(スドウヨシタカ)。私の好きな人だ。
でも付き合ってない。片思い中。
「……須藤、これ……」
男と女が爽やかな朝に裸でベッドの上だなんて、普通は答え一つしかない。
そう思うのに聞かずにはいられない。
須藤と目が合い笑ってみたが、顔が引きつってしまった気がする。
須藤はフ――ッと大きなため息をついた。
「わりぃ……。全く覚えてないんだわ……」
――――は!?
まさかの覚えて無い発言に、私は再び固まった。
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