その3

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あ――俺、本当駄目。 自分の余裕の無さに呆れていると、七瀬がやっと風呂から出てきた。 髪も乾かしていたので待ち長かった。寝巻きは流石に持って来てなかった七瀬に、Tシャツとジャージを貸したが何かヤバい。 「お風呂ありがとう。なんかドタバタしてごめんね。何も壊してないから」 「風呂上がって壊してないとか言う奴は、お前位だな」 そう返すと頬を膨らませて不機嫌を強調する。指で頬を突くと背中を叩かれた。可愛いけど痛い。力入れすぎだろ。 「須藤?」 俺を覗き込むように見つめる顔にキスを落とす。 七瀬がいつから俺を好きになってくれたかは知らない。でも俺は出会ってからずっと好きで。やっと気持ちが通じた今、一時も待てない。 薄めを開けて七瀬を見つめる。ギュッと目を瞑ってる彼女の顔が愛しい。 色々反則だよなーこいつ。 後頭部と腰に手と腕を回して深く深く口付けた。 キスすら不慣れそうな七瀬に合わせて、ゆっくり離してはまた口付ける。 不慣れでいい、俺しかもう知らなくていい。 そのまま押し倒したい衝動に駆られる。 そういえばリビングだった。俺はキスを止めて彼女の手を引いた。  
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