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クールで冷静な空翔の、こんな姿を見るのは初めてだった。
いつも自信に満ち溢れている空翔が、視線を伏せ唇を噛み締めている。
「お前、そんなに美生ちゃんのこと…」
「まぁな。やっぱり高校生はダメだな。三十一歳の大人には勝てないよ」
「そんなことねーよ。お前は十分イケてるよ。俺と同じ顔、俺と同じ声、ほらイケてるだろ」
空翔が口元を緩ませる。
「海翔と同じだなんて。ヤバイな」
「それ、どういう意味だよ」
空翔はフッと笑うと、切れた口角を指で触り、少し顔をしかめ、部屋を出て行った。
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