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「みゃー!みゃー!!」
雨の中、生まれて間もない僕は寂しさと、お腹を満たしたい一心で鳴く。
そんな僕の目は、中々ちゃんと開いてくれない。
だから生んでくれたママの顔は、まだ見ていない。
ママの声も。
優しく顔を舐めてくれる感触も、まだ分からない。
「にゃ~!!みゃー!!みゃー!!」
どんなに鳴き叫んでも、ママは僕の事を呼んではくれない。
どうして?
どうして僕の事を呼んでくれないの?
兄弟の声だって聞こえない。
僕の耳に届くのはザーザーッて音と、たまに聞こえる大きな動物の様な声だけ。
怖いよ…。
折角、生まれて来たのに…なのにママは何処なの?
「みゃ…ぁ…。」
どれだけの時間、鳴き続けたのだろう?
徐々に僕の目は開き、僕の目の前には誰の姿も無い事を知った。
だけど僕は、鳴き続けた。
そうすれば僕の声がママに聞こえるって信じてたから。
でも…現実はそうじゃなかった。
鳴けば鳴く程、体力がどんどんどんどん無くなって鳴く力が出なくなり、僕の声が届く所にママが居ないって事が分かった。
多分ママは、僕が生まれた事に気がつかなかったのかも知れない。
だって、お腹の中に居た時に僕には沢山の兄弟が居たんだ。
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