人間界へ…

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一年前──── 「ん……」 「起きたか…」 ある人物の低い声が、俺の耳に届いた。 その声は、何処かで聞いたことのある声で…、 「………。親父…」 俺は顔をしかめた。 兄弟の中でも、俺は親父との反りが合わず、ずっと疎遠だったからだ…。 「…。急な話なんだがな‥。お前には、これから人間界に行ってもらう…」 俺は、親父のその言葉に目を見開いた。 いくら反りが合わなく疎遠だったからと言って、親子の縁を切られると思ったからだ。 人間界に行くより、こっちの世界で生活している方が、俺にとって楽で良い…。 だから、この世界を追放され、親子の縁を切られるのだけは、どうしても嫌だった。 ………。…矛盾してるけどな…💧💧 「…そんな顔をするな。私と反りが合わないからと言って、お前をこの世界から追放したい訳じゃない」 「……ッ。だからって、冗談じゃねェ‼何で俺が人間界に行かなきゃならねェんだよっ‼」 俺は怒りをぶつける様に叫んだ。 「クリス、何を怒っている…?人間界に行けば、お前の好きな人間の生き血を吸えるだろう?」 そう言いながら、親父は何か企んでいる様な笑みを浮かべた。 「う"…💧💧で、でも❗」 「何か不満でもあるのか…?」
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