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刃平は中学3年になり、自宅からやや離れた、公立の普通の中学校に通っていた。
しばらくは、任務絡みでない普通の学校生活をさせる、という瀬織の方針のためである。
瀬織と刃平は、神奈川にある透心流拳術の道場を訪問することにしていた
米本が調査した、刃平の夫人候補リストにあった、遠当てをする女性は、高校生ながら、この道場の師範代だったからだ。
名を青葉 恵琉-あおば える-と言う。
現在、瀬織の家には、瀬織、コードネーム「ヘンタ」こと刃平、コードネーム「ドジコ」こと東雲あかり、コードネーム「ナデシコ」こと佐倉桜の、4人が住んでいる。
その朝、リビングに現れた瀬織は、22歳くらいの外見をしていた。
土曜日なので、リビングで朝食の支度をしていたナデシコが最初に気づいた。
「アネサン、少し、若くなりましたか?」
瀬織はあくびをした。
「みんな若いからねえ。アタシも少し若くしたの。どう?」
「良いですね。可愛らしくなりました。夕方、神奈川へ行くんでしたね。
お早いお帰りを。」
「わかったわ。なるべく早く帰る。」
夕方、クルマで、刃平と件の道場に走った。 そこは小さいながら、古い日本家屋のたたずまいのある道場で、外見は、さして立派ではないが、内部には、更衣室やシャワー室などの施設が、きちんと備えられていた。
道場の玄関で、二人を出迎えたのは、空手着を着た、身長170センチほどある、ほっそりとした女子高校生だった。
顔が小さいため、ことさら背が大きく見える。
一本に縛った髪が長く、尻に届いている。
顔立ちが、日本人離れしており、北欧か、オッソロ連邦などの、北方のアングロサクソン系とのハーフらしい。色が抜けるように白く、美人である。
特に、目に力があった。生気があるという意味であり、やたらとマツゲを増やしているなどというわけではない。
気性は激しいのかもしれない。
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