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午前中だからなのか、都内だというのに連休中の日曜にしては人のまばらな駅前で、燈(ともる)は案内状の地図を見直していた。高校生として迎える二度目のゴールデンウィークを毎日だらだらと昼過ぎまで寝坊していた彼だが、今日は登校するよりも早起きし、電車を乗り継いでこの駅にたどり着いたところだ。
「えっと……ここから徒歩五分か」
地図で目的地のビルまでの道のりを確認し、携帯で時間を見ると、指定された午前九時まであと十五分もなかった。
「まあ、間に合うだろ」
道さえ間違えなければ間に合いそうだが、さすがに余裕は無い。燈は少し早足で歩き始めた。
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