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燈がゲームのテストプレイヤーの依頼メールを受け取ったのは二週間ほど前のことだ。メールには『プレイヤー募集につきましては、当社が独自に厳選な審査を行い、直接ご連絡させていただきました』とあった。彼はいくつかのネット対戦型ゲームで、かなり上位の成績を残しているので、ゲーマーとしての実力を評価されたのだろう。
しかし、そのメールは肝心のゲーム内容についてほとんど触れていなかった。まだ開発中で未発表のゲームであることと『世界初の画期的なシステムを採用した多人数参加型リアル体感格闘ゲーム』としか記述されていなかったのだ。
あまりに情報不足なので、具体的なゲーム内容やそのシステムについてメールで問い合わせてみたが、『ゲーム内容の詳細につきましては、テストプレイに参加される方に当日、説明させていただきます』とつれない返事しかもらえなかった。ダメ元でネット検索もしてみたが、それらしい情報は何も得られなかった。
また、依頼メールの最期には『当社が開発中のゲームのテストプレイを行うことは極秘扱いとし、他言無用でお願いします。』とあった。
あまり深く考えるタイプではない燈でも、『少々うさん臭い、何か引っ掛かる部分がなくもない……』と思える話だったが、多少なりとも報酬が出ることは年中金欠の燈にとっては魅力的だった。そして何より『世界初の画期的なシステム』という言葉の吸引力が、燈に『参加』以外の選択肢を与えなかった。
彼が依頼メールに『参加』と返信して三日後、郵送されてきた案内状に記されていたテストプレイの会場が今向かっているビルだ。燈をテストプレイヤーとして招待したのは、そのビルにオフィスを構える『ダイブイン・システム』というベンチャー系ゲーム会社だった。
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