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住んでいる場所の話題を振ったのは香菜だったが、それ以上話を広げるつもりはないようだ。すでに彼女の好奇心は後ろに四つ並んでいる謎のボックスに移っていた。
「ところであのボックス、なんだと思います?」
「あー、あれね。俺もちょっと気になってんだけど……たぶんテストプレイ用の筐体じゃないかな。俺たちがテストプレイするゲームって体感ゲームみたいだし」
燈たちより早く到着していた京志郎もボックスについて考えていたようだ。京志郎の予想はごく自然なものだが、燈にはちょっと引っ掛かることがあった。
「でも、四つじゃ少ないだろ?」
「四人づつプレイするんじゃないか」
「……依頼メールには多人数参加型ゲームって書いてあったじゃん。こんなに人も集まってるし、もっと大人数で同時にプレイできるイメージなんだけど……」
「たしかに……四人じゃ少ない気がしますねー」
香菜も燈の考えに同調したようだが、少し首をかしげている。
「うーん。まあ、言われてみれば……そうだな。じゃあ、燈はなんだと思う?」
「え? う~ん、なんだろうな~?」
京志郎の予想を否定した燈だが、ボックスの正体について何か他に予想しているものがあるわけではなかった。
「……実は今日のテストプレイとは無関係だったりして」
「え~っ、それはないですよ!」
「そうそう、絶対関係あるって」
「ですよねー!」
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