01:テストプレイヤー

8/8
前へ
/8ページ
次へ
 そんな感じで三人の話しが盛り上がり始めたところで、社員証を首から下げた男性が二人、部屋に入ってきた。一人は三十代前半ぐらい、もう一人は少し若く二十代半ばぐらいに見える。三人は話を中断し、燈と香菜はそれぞれテーブルに「A1」、「A2」というシールが貼られた席に着いた。席は「A1」~「A4」まで四人一列に並んでる。香菜が「A1」、燈が「A2」、そして「A3」に京志郎、その隣「A4」には彼らよりちょっと年上に見える女性が座っていた。  さきほど入って来た三十代の男性は他の社員にいろいろ指示している様子から今日のテストプレイの責任者のようだが、ベンチャー系の若い会社らしく、ノーネクタイでジャケットにジーンズとラフな服装だ。彼はマイクの感度を調整したあと、他の二人の社員に部屋の奥の席へ着くように指示すると、自分は電子黒板の前に立って燈たちを見渡した。  今回集まったテストプレイヤーは十代後半から二十代後半といったところで、ちらほら女性の姿もある。席は全部で十六あり、燈と香菜が席に着いても、まだ一つだけ空いていた。  責任者と思われる男性は、すでに集合時間が過ぎているのを確認すると、空席分のプレイヤーは社員で補うことにして、テストプレイについて説明を始めることにした。 「えー、そろそろ時間なので始めたいと思います」 image=474897325.jpg
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加