79人が本棚に入れています
本棚に追加
/725ページ
「はい、見えますけど」
「マジ?」
「ええ、マジです」
「おーすげえ。一体何十年ぶりだろうな、俺のことが見える人間に会ったのは」
男性は切れ長の目を見開いて驚嘆する。
―――何言ってるのこの人?
天然と言われ慣れている早苗でも、男性の言動は何か変だと感じずにはいられなかった。
「用がないなら出ていって下さい、警察を呼びますよ!!」
早苗のあらん限りの大声も、男性は平然と受け流してしまう。
「まあ聞けよ、ちっこいの」
「やっ……離して下さいっ!」
手首を掴まれて必死に抵抗するが、早苗の力では振り解けそうにない。
「落ち着けって。……俺が神様だって言ったら、あんたは信じるか?」
「…………カミサマ?」
「そう、カミサマ」
薄暗がりの中、余裕さえ感じさせる笑顔の男性。相対して、完全に怯えてしまった早苗。
「神社からずーっとついてきたんだけど、気がつかなかったか?」
みるみるうちに、早苗の顔色が青くなった。
「お父さーんお母さーん!! すっ、ストーカーが出たあー!!」
全力で手を振り払って、御神酒の入った袋をしっかり抱え、早苗は家の中に駆け込んだ。
―――――To be continued...
最初のコメントを投稿しよう!