第1話

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全ての窓に鍵がかかっていることを確かめてから、階下におりる。 「お母さん、ちゃんと鍵かかってたよ」 「ありがとう。お父さんたちは大丈夫かしら」 ややあって、男衆がぞろぞろと戻ってきた。 「お帰りなさい、どうだった?」 「付近に怪しい人はいなかったが……交番には届けてきた。巡回を強化してくれるそうだ」 ヘルメットを脱ぎながら、早苗の父はふうっと安堵の溜め息をもらす。 「お正月から物騒ねえ……気をつけるのよ、早苗」 「うん。ありがとう、お父さん。皆さん、お騒がせして本当にすみません」 親類たちに、早苗は深々と頭を下げる。 「いいんだよ。何もなくてよかったね、早苗ちゃん」 顔を上げた早苗は、度肝を抜かれた。 親類に交じって、先ほどの着物の男性が玄関に立っているではないか。 「おお寒い。すっかり冷えてしまった」 「これはあったまり直さないといかんな」 全く意に介さず客間へ戻っていく男衆。早苗の母親が気を利かせて熱燗を用意していたらしい。歓声が上がる。 「えっ!? ちょ、何で!?」 ―――どうしてみんな気がつかないの!? 「おっと」 客間に転げ込もうとした早苗を、男性は捕まえて抱きかかえ、口を手で塞ぐ。 「しーっ。騒がないほうが、あんたのためだ」 動きも声も封じられて、早苗はすーっと血の気が引いていくのを感じた。膝が抜けて、廊下に座り込んでしまう。 「あっ……あなたは……何者?」 口を押さえている男性の大きな手をずらし、身震いしながら尋ねた。 「俺? さっきも言ったじゃん。神様だって」 そう答えて、男性はにいっと笑った。 ―――――To be continued...
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