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「リルちゃんの足元を見てごらん……1メートル四方のマンホールの蓋の上に立っているのが解るね」
「はい」
「サビて所々に苔が付着して亀裂が走っているマンホールの蓋が見えますか」
「はい……見えます」
「さぁ……蓋が重さに耐え切れず、砕け散るあなたは奈落の底へゆっくりと落下して行く。
危険性はありません……だんだん下に沈み込んで行くに連れて過去に遡っていく
……深い井戸へ降りて行くような感じです……
回りの壁には過去を彩るあなたの思い出が走馬灯のように映しだされています
……これはあなたの心の中の穴(井戸)です。
底には水が溜まっています。
その水は壁に刺さっているトゲによって壁かからしたたり落ちた液(悲しみと苦しみです)
田村の声が頭の中で反響する。
じめじめして、カビ臭い真っ暗な穴の底へ落下して行く。
斜め下の方向が、ボーッと鈍い光を発している。
ひかり苔が密集しているらしい。
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