幻夢

5/5
前へ
/26ページ
次へ
落下しながらひかり苔に、チラッと視線を走らせたリルが 『うっ……』 っと声にならない悲鳴を上げた。 腐りかけた顔半分に、眼球がドロリと垂れ下がっている生首。 まるで、井戸の壁から生えてきたようである。 思わず両手で顔を覆った。 『あなたは事故に遭う前日まで遡りました……』 頭の中に、その言葉が反響すると突然、左右前後に振動が…… 両手の隙間から覗くと壁が、崩れ落ちながら消失し始め、周囲がぼやけるように霞む。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加