驚愕の一千万馬券

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淡い月の光が、まるでスポットライトのように20メートル先の白いグランドピアノに照射している。 グランドピアノの回りだけが、月光が乱反射しているかのように、霞んでいる。 『……きれい』 (……誰なの? ……とても懐かしい。 ……そしてこのメロディー……あ…あぁ……) 「……あなた誰なの?……」 舞が叫んだ時、足の先から頭へ向けて電流が走った。 脊髄から脳髄へ走った微弱な電流にエクスタシーを感じた。 舞は、温かくて幸せな気分が、全身を押し包むのを感覚した。 いつしか、寂漠の涙が甘露の涙に変化していた。 頬を伝う涙が淡い月光に反射してキラリと煌めき地面に吸い込まれた。
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