第４話

驚愕の一千万馬券

少しよろめきながら、一歩ずつピアノに近づいて行く。

『あなたは誰？……
健ちゃんなの？……』

うわごとのように呟きながら近づく。

『ポ～ン♪ポン……ポン』

前後左右に揺れていた身体が静止して両手も鍵盤から離れた時……

店内をゆるがす拍手の嵐。

不思議な事に舞には、拍手の嵐も耳に届かず辺りは、シーンと静寂が支配していた。

静寂の中、ピアノを弾いていた男性が、ゆっくりと後ろを振り返った。