金髪のホスト

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「18歳の時に親戚の家を飛び出した。 お金も尽きて、青山二丁目の近くのレストランのポリバケツを漁っていた。 『ちょっと……』 ヒステリックな声が聞こえて振り向くと、二人の男性に買い物袋を両手一杯に持たせた女王様気取りの女性が、レストランから出て来て、私を指差して 『あたしの視野に入れないで』 と二人の男性に指示している。 『このザマときたら……』 と呟きながら、女性が財布から無造作にお金を出して自分の買い物袋に入れた。 そして背の高い金髪の若い男性に手渡した。 『ほら……』 金髪のホストらしき男性が買い物袋を私に差し出した。 『この辺をうろつくなって……』 私は憐れんだような眼差しの金髪のホストを無視して、女性をキッと睨みつけながら 『利息を付けて返します』 と言った。 女性は 『ふん』 と鼻で笑いながらそっぽを向いた。 『実は俺も彼女から誕生日プレゼントをもらったんだ。 100万近い品物に卑屈になっていたが、君の堂々とした態度に勇気がでたよ……』 金髪の男性が、そう言いながら離れる。 その時、五年後を見よと! 心に誓ったリルの悔しさが蘇ってくるのを感じたわ」 舞がしみじみと呟いた。
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