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目の前の相手に気合いを入れるように両肩に手をポンッと乗せる友達。
彼女は笑顔で「・・・行ってくるね!」とだけ言うと、すぐに教室を出ていった。
「ありがとね菅野君。平賀君を見る度に嬉しそうな、でも少しだけ辛そうなあの娘の表情を親友としてこれ以上見てられなかったのよ。でもこれであの娘も平賀君相手に心から笑えるようになるわよね。占い師さん、本当にありがとう!」
(もう5時か・・・。今日は店仕舞いをして、そろそろアパートに帰ろう。)
少年は机の上のカードの束をケースにしまうと、帰り支度をして教室を出た。
昇降口から校庭に出ると、ちょうど部活が終わったらしい運動部の生徒達の姿がちらほらと見える。
その中には先程彼の占いを受けた高崎さんと恐らく平賀君と思われる男子生徒が手を繋いで歩いている姿もあった。
あの様子だと、きっと告白が上手くいったのだろう。
校門の近くで花を咲かせている桜の木の側を仲睦まじげに並んで歩く二人の姿はとても絵になっていた。
(おめでとう高崎さん。彼と共に何時までも幸せに歩める事を僕は祈りますね。)
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