アンと私と義母の秘密

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義姉や義母からも 「可愛い息子(弟)が欲しかったな~」 冗談を聞く仲になり 主人が留守の時にも自宅に寄っていた。 大型犬は苦手なのですが、飼っていたアンの散歩は当時の私の日課になっていた。 大人しく吠えたりせず利口な子だった。 決まった散歩コースがあり喜んで 歩みを私に合わせながら歩くアン。 だが絶対に拒否し、この先は駄目!! そんな瞳をしてグイグイ引っ張り 引き返す場所があった。 これが気になり、その場所に行った。 すると主人の実家の方角を見つめる 性別も判断できない三ヶ月にも満たないであろう赤ちゃんが泣いていた。 アンが拒否し私に見せたくなかったのは この事だったんだ… この光景を目にして思った。 それから義母が結婚することも決まって いた私に主人と義姉にも内緒にしていた話を聞かせてくれた。 「知っていてもらいたいことがある。 実は、あの子(主人)は兄になるはず だったの。 当時、身体の具合の悪い中に授かった 子がいて私の身体が持たなく生んで あげられなかった。供養も姑達が 世間体を気にして、ろくな供養もしない ままで。」 こんな内容だった。義母も苦しんだのだろうけれど、生を受けず供養もしてもらえなかった赤ちゃんは泣いているまま。 この何十年も… 私達が新居に越してから アンの具合が悪くなっていった。 入退院を繰り返しながらもアンが家に居る時は何事もなく、妙な現象が実家に起こることはなかった。 あったとしても、この家の人達は信じないし話したところでリアルに見たことがない。 怖がらせるだけだ。 暫くしてアンが旅立った。 主人と14年一緒だった。 主人は泣き崩れる… 仕事には行ったが辛く見送ることができず私が代理で義母と見送る。 無事に旅立ったことを伝えた。 トラウマもあるが、私達が何も飼えないのは辛さを知り乗り越えられず アンに甘えているから。 時々、実家の様子を見に来ているアン。 いつもギリギリのところでなんとかなっているのかもしれないのは この子の影響もあるからだ。 ごめんね 有り難う もう休んでいいんだよ。 あなたの意志で守ってくれているなら 嬉しいけれど休んでいいんだよ。
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