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「兄ちゃん名前は?」
「癸(みず)白頭(しらず)」
どの次元のどの世界のどの地域のどの座標上にいても、「タチ」が悪い人間は存在するものだ。
プカプカと雲の上に寝そべっていようが緩やかな清流の中に身を潜めようが悪玉は必ず沸いてくるものであり、むしろ、清潔を保つためには不潔は不可欠であるくらいの要素なのではと思いたくなる。
「覚えたからな」
「偽名だ」
「あ?」
「冗談だ」
私を路地裏の壁際に追い込み、3方向から退路を塞ぐニット帽を被っている3人の若者は、みな、一様にして右のこめかみから首にかけて縦へ龍を模したラインの入れ墨を彫っていた。
首から下はパーカー記事に隠れてどこまで続いているのかわからないが、見える範囲では龍の入れ墨上で尻尾の部分であるようだから、それなりに細長い入れ墨なのかもしれない。
何かの組織としての統率を図る為のものなのか。
相手に威圧感を浴びせるためのアイテムなのか。
いずれにせよ、私にそれを知る由はない。
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