私の話

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ツカツカと歩く海斗の後ろをついて行く。 まだ手首は強く握られたまま。 まだこの棟からは出れてない。 囚人が少ないくせにやたらめったら広いのだ。この棟は。 「なぁ…海斗。おれが狙われてるってどういうことだ?」 さっきから気になっていた問いを口にする。 「そうだな。詳しくはここを出てから話すがいま大まかに説明するよ」 話しながらも足のスピードは落ちない。 「警察組織の中でも中枢を担う科学組織。通称:ウィグリアル。何件もの事件解決に貢献してきた科学組織だ。近年この棟から期限を待たずしてひっぱられた死刑囚がいるだろ?」 「あぁ…確かここの死刑囚はみんなおれが知る限り満期になる前に連れてかれてそこから帰ってきてない」 「世間ではそいつらは死刑執行されたことになってる。が、実質、やつらは死んでない。もっとも死んだ方がマシだったかもしれねぇがな。ウィグリアルは人間兵器を創り出そうとしている。いや、他国に送っても犬死にすることは疎か、逆に他国を殲滅さえしてしまいそうなそんな馬鹿げた人間を創り出そうとしている、という方が正確かもしれない。いまじゃぁ、世間は資本が人間になりつつある。小国は他国に有能な人間を派遣することで国の利益を得始めているからな。いずれは全世界でそんなことが起きてしまうだろう。そうなる未来は遠くはない。その世界の動きに遅れをとるまいと日本が国を挙げて始めたモノがそれだ」
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