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あの日は素晴らしく最高な夢を見た日だった。
愛しい人がおれの名前を呼んでいたんだ。
あの柔らかな紅い唇からふんわりと空気を震わす声音は驚くほど綺麗で高音を奏でていた。
実際声音はなにかに遮断されたみたいに聞こえなかったけれどあの人の顔を見ることができて嬉しかった。
いつもウンザリする部屋の、ここ数年は変わっていない内装を見ても気分が落ち込むことは無かった。
一枚の壁で仕切られたトイレとシャワー室。
味気ない薄っぺらい布団と枕。
それと隅に置かれた小さな机。
そして何よりも気分を落ち込ませるのは三面の白い壁と残り一面に設置されている白く塗られた鉄格子。
そう。
おれは囚人No.1の者。
名を高木 灸花(たかぎ やいと)という。
漢字のごとく女のように思われがちだ
が、実際女だ。
おれは五年前に終身刑を言い渡された。
最愛の彼女をなぶり殺した罪である。
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