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マチルダは順調に回復している。 私が彼女の世話をする度に彼女は私に抱きつき感謝の言葉を投げ掛ける。 『ジャンヌ有り難う!』 素直なマチルダが私は大好きだ。 私の方こそ彼女のおかげで充実した日々を送っているのだから感謝するのは此方の方なのだが… 以前のマチルダは苛めから逃れる為に私の側にいたがり、私にとってはお荷物で鬱陶しい存在だった。 だが私の気持ちを察してか彼女は私に気に入られようと只管(ヒタスラ)努力に努力を重ねる。 能力は劣る彼女だが、仲間から孤立している私の為に少しでも役立とうと情報集めに精を出した。 いつからか、そんな直向きな彼女に私は心を開く。 今では立場は逆転し彼女がいないと私の方が行動するのに困ってしまう。 ところで、傲慢すぎる私がマチルダに頼る姿を観て他の仲間達は不思議がってるらしい。 低次元の連中に何と思われようが私は平気だ。 彼等と私ではレベルが甚だ違いすぎる。 知力体力そして美貌さらには向上心において私より勝る者に出会ったことがない。 連中からは何の魅力も感じないし、彼等の古い知識や技量に学ぶべき価値を何一つ見いだせない。 現状維持しか能がない仲間と一緒にいても進歩なく退化するだけだ。 だがマチルダは他の低次の仲間とは違う… マチルダは弱者すぎて生存競争で勝ち残れそうに見えない、が実は弱体ゆえに強者に縋(スガ)っても嫌味がない。 大義名分と自身にそれなりの魅力があれば強者を味方につけるのも可能だ。 弱いマチルダを過小評価し虐めに執心する愚か者、奴等は弱者が永久に弱者のままだと信じ込んでいるようだ。 弱者こそ強さに憧れ執着する。 マチルダを蔑視して現状に甘んじるような輩に成長などない。 イジメに現を抜かし自らの成長に無関心なままでは生存競争の敗者になるしかないだろう。
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