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「この問題は……、」
先生の声が教室中に響く中、美優と徹平君に気付かれないように鞄から封筒を取り出し、震える指先で封筒を開いた。
写真と手紙?
「っ、」
これは何?
誰がこんな酷い事をするの?
封筒から取り出した写真を見た瞬間、恐怖で身体が震え出した。
手紙を読まないと……。
――写真のように君の大切な人達を傷付けて真っ赤に染めてもいいかな?13時に校門前で待ってるよ。白龍のお姫様。――
身体の震えを抑えて開いた手紙には、真っ赤なインクで塗り潰された、お兄ちゃんと美優と白龍の皆の写真が挟まっていた。
この手紙を書いたのは誰?
私が呼び出しに応じなければ皆を傷付けるって事?
私が学校から居なくなったら皆に心配をかけてしまう。
でも私の大切な皆が傷付けられるのは嫌!!
私は皆を守りたいの。
この手紙の差出人がどんな人なのかは分からないけど、絶対に負けたりしない。
「翔君――…、私行くね。」
写真と手紙を封筒の中に戻して鞄の中に入れ小さな声で一人呟きながら、心の中にある恐怖心を打ち消すために両手を強く握り締めた。
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