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「翔君――…、」
絶対に負けない。
どんなに怖くても絶対に泣いたりしない。
私を抱き上げて歩く男の人の腕の中で翔君の名前を呼び、制服の胸元を握り締めて強く心に誓った。
「着きましたよ?お姫様。」
「此処は……、」
男の人の声に促されて顔を上げた私の目の前には、白龍の溜まり場と同じような形をした建物があった。
「ブラックスネークのお城へようこそ!!」
私に視線を向けた男の人が発した言葉に、私の身体が激しく震え出した。
「あれ?大丈夫?さっきより震えが酷くなったね?でも俺がブラックスネークの奴だって気付いてたでしょう?」
この人の言う通り私は気付いていた。
本当は黒い封筒を見た時からおかしいと感じていた。
私を呼び出したのがブラックスネークの人だという事を確信したのは、封筒の中に入っていた写真と手紙の内容。
だから私は呼び出しに応じる事にした。
「貴方の言う通りです。私は貴方がブラックスネークの人だと分かっていました。」
私は皆の役に立てる事を見つけるために呼び出しに応じた。
私を守ってくれると言ってくれた皆の事は心から信じてる。
私がブラックスネークに捕まってしまったら、皆の足手まといになる事は分かっていたけど、どうしても皆の事を守りたかった。
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