呼び出し

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「杏樹、どうした?顔色悪ぃぞ。」 「そうですか?」 「ああ、体調でも悪ぃのか?」 「いえ。何処も悪くないですけど、後で保健室へ行って少し休んで来ます。」 「ああ、そうしろ。俺が連れて行ってやる。」 「私、保健室ぐらい一人で行けますよ?」 「駄目だ。心配だから一緒に行く。」 「……はい、分かりました。」 一人になるにはどうすればいいのか分からない。 私が行かないと皆が傷付けられてしまうのに、翔君と離れるための理由が見つからない。 それだけは絶対に嫌!! 「おい、杏樹!!本当に大丈夫か?」 「っ、は、はい。」 身体が震える。 本当は怖いの。 凄く怖い。 でも強くなるって決めたから絶対に負けたくない。 「おい、隼人。ちょっと出掛けて来る。」 「ん?翔、どうかした?」 「杏樹の顔色が悪ぃから保健室に連れて行く。」 「杏ちゃん、大丈夫?」 「っ、大丈夫です。」 隼人君の心配そうな表情を見て思わず泣きそうになり視線を逸らして俯いた。 「杏樹!!本当に大丈夫なの?玲さんに連絡する?」 「っ、お兄ちゃんには連絡しないで!!これ以上心配かけたくないの。美優、お願い。」 「はあ、分かったわ。玲さんには連絡しないって約束する。放課後になったら保健室へ迎えに行くから、それまで休んでないと駄目よ?」 「うん、分かった。」 「杏樹、行くぞ?」 「……はい。」 翔君に抱き上げられて『エンジェル』に乗り、心配そうな表情で私を見つめる皆に心の中で謝りながら『エンジェル』を押して歩く翔君と一緒に教室を出た。
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