呼び出し

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「ちっ、誰も居ねぇじゃねぇか。」 「先生もお昼休みじゃないですか?」 「体調が悪ぃ生徒が居るのに昼休みなんて呑気なもんだな。」 「私なら大丈夫ですから余り心配しないで下さい。」 「はあ、とりあえずベッドに寝かせるから俺に掴まれ。」 「はい。」 翔君は保健室に先生が居なかった事が気に入らなかったのか、不機嫌な表情のまま私を抱き上げてベッドに寝かせると、保健室にある戸棚を開け始めた。 「ちっ、何が効くのか分からねぇ。」 「翔君、どうしたんですか?」 「杏樹の症状に効く薬を探してる。」 「放課後まで寝ていれば大丈夫ですから、翔君は皆の所に戻ってお弁当を食べて下さい。」 「駄目だ。杏樹の体調を治すのが先だ。弁当は後で食うから心配すんな。」 「はい、分かりました。」 私が何を言っても翔君には聞き入れてもらえない。 約束の13時まで後少し。 「はあ、人呼んで来るから少し待ってろ。」 「はい。」 「一人で大丈夫か?怖くねぇか?」 「大丈夫です。」 「じゃあ、行って来る。」 「はい、待ってます。」 これで少しの間は一人になれるから、その間に出て行けば大丈夫だよね? 翔君、ごめんなさい。 何も伝えずに行く私を許して下さい。 保健室を出て行く翔君の後ろ姿を見送った後『エンジェル』に乗り保健室を出た。
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