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「……誰も居ないの?」
手紙には13時に校門前だと書いていたはずなのに誰も居ないなんておかしい。
何処かに隠れてるの?
早くしないと翔君が保健室に戻って来てしまう。
「やあ、白龍のお姫様。」
警戒しながら辺りを見回していると、楽しそうな男の人の声が聞こえてきた。
落ち着いて振り向けば大丈夫。
怖くない。
皆を守るためなら何でも出来る。
「こんにちは。私に手紙を下さったのは貴方ですか?」
両手を強く握り締めて震える身体を必死に抑え、振り返った先に居た男の人に視線を向けて声を掛けた。
「へえ、白龍のお姫様は噂通りの美少女だね?」
少し長い髪は銀色に染められていて、顔を見る限りでは悪そうな人には見えない。
この人は一体誰なの?
「ご用件は何でしょうか?」
「あれ、手紙読まなかった?」
「いえ、読んだから此処へ来たんです。」
「それなら俺が言いたい事分かるよね?」
「私が貴方に着いて行けば皆には何もしない。そういう事ですよね?」
「ふふ、流石だね。皆木から奪ってやろうかな?まあ、いいや!!とにかく行こうか?」
「分かりました。」
男の人の言葉に頷き、少し先に見える黒い車に向かって歩き始めた男の人の後を追った。
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