呼び出し

6/8
前へ
/35ページ
次へ
「……誰も居ないの?」 手紙には13時に校門前だと書いていたはずなのに誰も居ないなんておかしい。 何処かに隠れてるの? 早くしないと翔君が保健室に戻って来てしまう。 「やあ、白龍のお姫様。」 警戒しながら辺りを見回していると、楽しそうな男の人の声が聞こえてきた。 落ち着いて振り向けば大丈夫。 怖くない。 皆を守るためなら何でも出来る。 「こんにちは。私に手紙を下さったのは貴方ですか?」 両手を強く握り締めて震える身体を必死に抑え、振り返った先に居た男の人に視線を向けて声を掛けた。 「へえ、白龍のお姫様は噂通りの美少女だね?」 少し長い髪は銀色に染められていて、顔を見る限りでは悪そうな人には見えない。 この人は一体誰なの? 「ご用件は何でしょうか?」 「あれ、手紙読まなかった?」 「いえ、読んだから此処へ来たんです。」 「それなら俺が言いたい事分かるよね?」 「私が貴方に着いて行けば皆には何もしない。そういう事ですよね?」 「ふふ、流石だね。皆木から奪ってやろうかな?まあ、いいや!!とにかく行こうか?」 「分かりました。」 男の人の言葉に頷き、少し先に見える黒い車に向かって歩き始めた男の人の後を追った。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

210人が本棚に入れています
本棚に追加