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「杏樹、印付けるから動くなよ?」
「……はい、っ、ん、」
俯せに横たわる私のうなじに翔君の唇が押し当てられた瞬間、私の口から小さな声が漏れた。
翔君から着替えだと渡されたシャツも羽織らずに、下着姿で翔君に抱き着いていたという事実に気付き、恥ずかしさで全身が熱くなる。
どうして着替えもせずに抱き着いたりしたのか、自分でもよく分からない。
着替えてからでも良かったのに、あの時は翔君を抱き締めたいとしか思ってなかった。
「杏樹の身体中に印を付けてやるから覚悟してろよ?今日は寝かせねぇからな。」
「っ、翔君――…、」
翔君の唇がうなじから肩や背中へ移動する度に感じる、チクリとした痛みに耐え切れずに、口から漏れてしまう声を抑えようと枕に顔を埋めた。
「ふっ、杏樹?そんな声出して誘ってんのか?」
「さ、誘ってません。翔君が……っ、ん、」
「やっぱり麻生の言う通りだな?杏樹は天然小悪魔だ。」
「翔君、意味が分からないです。」
「まあ、いい。後ろは終わったから次は前だ。」
「は、はい。」
背中の印がどんな風になっているのか分からない事に少しだけ戸惑いながら、恥ずかしさで赤くなった顔を隠して仰向けになった。
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