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「翔さん、荷物は玄関でいいですか?」
「ああ、今日は悪かったな。」
「いえ、杏樹ちゃんが無事で本当に良かったです。」
「ああ。」
「俺は溜まり場へ戻るので、何かあれば連絡下さい。」
「分かった。」
「では失礼します。杏樹ちゃん、ゆっくり休んで下さい。」
「圭介さん、今日は本当にありがとうございました!!さようなら。」
圭介さんは私の荷物を玄関に置くと、私達に頭を下げ笑顔で部屋を出て行った。
「とりあえず、ソファーにでも座って話すか。」
「はい。」
翔君の声が低くなった気がする。
やっぱり凄く怒ってるよね?
翔君が私のために人を捜しに行ってくれている間に、黙っていなくなるなんて最低な事だよね。
翔君や皆が心配する事は分かっていたのに、あの封筒の中身を見た瞬間、呼び出しに応じる事しか考えていなかった。
「ほら、林檎ジュース。」
「ありがとうございます。」
翔君は私をソファーに座らせて林檎ジュースを手渡してくれると、隣に座って珈琲を飲み始めた。
「はあ、喉が渇いてたから珈琲が美味い。杏樹もジュース飲め。」
「はい、いただきます。」
今まで何も飲んでなかったから凄く美味しい。
林檎ジュースの甘さが口の中に広がって、緊張していた気持ちが和らいでいく。
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