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「杏樹。どうして学校に行きたくないのか理由を言ってみろ。」
「……言いたくありません。」
「なあ、杏樹。嬉しい事や辛い事、何でも二人で半分にする約束だったよな?」
翔君と約束した事は忘れてないけど、校門前に居る女の人達に嫉妬してるなんて知られたくない。
翔君に嫌われたくない。
それだけは絶対に嫌!!
「……翔君。何も聞かずに私を帰らせて下さい。お願いします。」
「駄目だ。理由を言わねぇなら、無理矢理車から下ろす。いいのか?」
「っ、嫌です!!」
「無理矢理が嫌なら理由を話せ。どうして学校に行きたくないんだ?」
翔君は私の顎を指で持ち上げると、真剣な表情で問い掛けてきた。
私が全て話す事で、翔君に嫌われるかもしれないと思うと凄く怖いけど、私の気持ちを分かってもらうためには、理由を話すしかない。
「あ、あの。私、嫉妬して……、翔君を束縛したくて……、」
「……は?杏樹?」
私の言葉を聞いた翔君は、意味が分からないのか、困惑した表情で私を見つめてきた。
どうしよう。
上手く説明出来ない。
「あははっ!!そういう事ですか。」
どう説明したら分かってもらえるのか、翔君の目を見つめながら考えていた私の耳に、笑いながら手を叩く圭介さんの声が響いた。
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