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「杏樹、まだか?早くしねぇとチャイム鳴るぞ?」
「……は、はい。」
凄く恥ずかしいけど、早くしないと遅刻してしまう。
そんな事になったら、お兄ちゃんと美優に怒られる。
「ふっ、覚悟決めたか?」
「……はい……んっ、」
軽く触れるだけのキスをして直ぐに離れるつもりだったから、翔君の腕が背中に回された事に驚いて身体を震わせた。
「ふっ、すげぇ可愛い。そんなキスじゃ足りねぇよ。」
「んっ、はあ、翔君――…、」
角度を変えて繰り返される深いキスで、呼吸が乱れて身体中が熱い。
触れ合う唇の隙間から漏れる自分の吐息に、羞恥心が込み上げる。
「どうした?キスするの止めて欲しいか?」
「んっ、翔君、苦しい……っ、」
呼吸が出来ない苦しさから、生理的な涙が零れ落ちた。
翔君は、ギブアップの意味を込めて胸元を軽く叩いた私を見て、優しい表情で微笑んだ。
「杏樹が可愛いすぎて、キスするの止められねぇ。もう少し我慢しろ。」
「んっ、翔君、遅刻してしまいます。」
「授業なんてどうでもいい。俺はお前と居たい。」
「っ、だ、め……はあ、駄目です。」
どうしよう。
翔君の腕の力が強くて、身体を離す事が出来ない。
触れ合う唇から伝わる熱に、気が遠くなりそう。
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